Craib が1922年に Stephania erecta として記載した、タイ北部〜東北部からラオス・カンボジア・ベトナムに分布するツヅラフジ科の塊根性つる植物。灰褐色の球状塊根(直径5〜25cm)の頂部から細い蔓が伸び、円形の盾状(peltate、葉柄が葉裏中央付近につく)の薄い葉を展開する独特の姿が魅力。タイから素焼き状態の球塊根が大量輸入され、水耕や用土で芽出しさせる「お土産植物」として日本の塊根ブームを牽引した代表種。冬は落葉し、塊根のみでオブジェのように越冬する。POWO 等の現代分類では accepted name は先発表の Stephania pierrei Diels (1910) とされるが、塊根植物の流通界では「ステファニア・エレクタ」が定着しているため、本サイトでも流通名を採用する。
育て方
置き場所・日当たり

タイ北部の石灰岩カルスト地形や落葉乾燥林の岩の隙間に自生し、強光〜半日陰まで適応の幅が広い。生育期は明るい屋外または室内の窓辺で柔らかい日光に当てると、蔓が間延びせず葉色も濃く仕上がる。日本の真夏は強光と高温多湿の組み合わせで葉焼け・蒸れを起こしやすいので、遮光30〜50%の半日陰で風通しを確保する。鉢を地面直置きせず棚上で管理すると塊根の蒸れを防げる。落葉後の休眠期は明るい室内窓辺へ取り込む。
水やり
生育期は表土が乾いてから与え、塊根や受け皿の水はけを必ず確認する。落葉が始まったら徐々に水を絞り、休眠中は完全断水。冬の過湿が塊根を腐らせる最大の事故要因。
用土
水はけ最優先で無機質中心に。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3が基本。塊根が大きく重くなるので深鉢で安定させ、ドレンを十分に取る。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1回、または緩効性化成肥料を植え替え時にひとつまみ。与えすぎは蔓の徒長と塊根の腐敗の原因。塊根を太らせる意識で控えめに。
温度・冬越し
生育適温22〜32℃、最低8℃が目安。落葉後は明るい室内窓辺で完全断水越冬。湿土+低温は致命的で、休眠中の水やりが本種最大の死亡要因。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は古い在庫の可能性が高い。種子は鮮度が落ちやすく、入手後はなるべく早く播きたい。
用土
実生用は細粒・無菌寄り。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1。電子レンジか熱湯で事前殺菌しておくと立ち枯れを防げる。
播種方法
覆土なしか、種子が見え隠れする程度の薄い覆土に留める。種子間隔は1cm以上空け、密集を避けて並べる。
光・温度
明るい日陰またはLED環境で25〜30℃を保つ。発芽日数は2週間〜2ヶ月と幅広く不揃いで、加温マットで温度を安定させ気長に待つ。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種でも発芽率は控えめな部類。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の2〜3週間は乾かさず、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に規定の倍以上に薄めた液肥を月1〜2回。塊根を太らせる時期は気長に、濃く与えない。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、強光は避ける。
腰水卒業
1〜2ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
1〜2年目、根が回ってから。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換えをこまめに、休眠中は完全断水
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐにLED距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 新鮮な種、加温マットで25〜30℃維持。発芽が遅いので2ヶ月は様子を見る
注意点
塊根や蔓に bisbenzylisoquinoline 系アルカロイド(cepharanthine 類縁体など)を含み、誤食すると有害。休眠中の過湿は塊根を一気に腐らせる本種最大の事故要因で、冬は完全断水を徹底する。

