「恵比寿笑い」の名で知られるパキポディウムの代表的人気種。マダガスカル中央高地の岩場に張り付くように自生し、平たく広がる塊根と春先に咲く明るい黄色の花が最大の特徴で、岩肌に擬態するような独特のフォルムが愛好家を魅了してきた。成長は非常に遅く、長い年月をかけて作り込む実生株は唯一無二の個性を帯びる。夏の高温多湿に弱く、通気と用土選びにこだわれる中〜上級者向け。
自生地の気候
雨は暖かい季節に集中し、はっきりした乾季がある。温暖な気候。
自生地の広域的な気候の目安です。岩陰や霧など、実際の生育環境はこれより穏やかな場合があります。
出典:気候・標高 WorldClim 2.1(1970–2000)/分布点 GBIF/在来範囲 POWO/現在の天気 Open-Meteo
育て方
置き場所・日当たり
マダガスカル中央高地の岩場に自生し、強光下に育つが、原産地の冷涼な気候とは異なり日本の夏は高温多湿に非常に弱い。春と秋は屋外でしっかり日光に当て、真夏は遮光50%程度の半日陰へ移動するか、北向きや東向きの風通しの良い場所で過ごさせる。サーキュレーターによる通気確保が最重要で、鉢を地面に直置きせず棚上で育てたい。室内栽培は徒長しやすいので避け、冬の休眠期は5℃を下回らない明るい室内窓辺へ取り込む。
水やり
生育期は表土が完全に乾いてからたっぷり与え、その後しっかり乾かす。岩場原産で蒸れに弱く、曇天や低温時は無理に与えない。休眠期は完全断水で乾燥越冬。
用土
水はけと通気性を最優先。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4と軽石比率を高め、化粧砂はほぼ使わない。腰高鉢で底部の通気を稼ぐと蒸れ事故を防げる。
肥料・活力剤
生育期に薄い液肥をごく少量、月1回未満に。緩効性肥料を入れるなら植え替え時にひとつまみ。成長の遅い高地性種なので、与えすぎは徒長と腐敗を招く。
温度・冬越し
生育適温18〜30℃、最低5℃が目安の高地性種。日本の盛夏は熱帯夜で止まりやすく、半日陰+強制通気で熱を逃がす。冬は断水して明るい室内窓辺で休ませる。
実生のはじめ方
種の入手先
は直接商品ページ、その他は学名検索リンク。在庫は流動的なのでリンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。浮く種は鮮度落ちが進んでいる傾向。鮮度が発芽率を強く左右する高地種なので、新鮮な種を必ず選びたい。
用土
実生用は成株と分け、細粒・無菌寄りに。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
覆土なしか、種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は1cm以上空け、密集を避けて重ならないよう並べる。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を安定維持する。発芽日数は5〜21日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種なら発芽はおおむね安定する。温度が安定すれば発芽もばらつきにくい。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。高地種は蒸れに弱いので、サーキュレータで通気を確保しながら2〜3週間は湿度を保つ。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月1回程度、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与え、徒長を抑える。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を継続して湿度を保ちつつ、サーキュレーターで通気を確保する。強光は避け、明るい日陰で管理する。高地種で蒸れに弱いため、通気は特に丁寧に。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
徐々に腰水の水位を下げ、最終的に底面給水(受け皿に水をやる)へ切り替える。蒸れを嫌う種なので段階を急がず、2〜3ヶ月かけてゆっくり慣らす。急に乾燥させると枯れる。
初回植え替え(2〜3年目)
成長が非常に遅いため、根が鉢底まで回ってくるまで時間がかかる。塊根が平たく広がり始める頃を目安に、軽石比率を高めた無機質中心の通常用土へ植え替える。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、高温多湿による蒸れ、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレーターで通気を確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐにLEDの距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
発芽後すぐ枯れる
- 原因: 急な強光、急な乾燥、夏の蒸れ
- 予防: 環境変化は段階的に。1週間かけて少しずつ慣らす
注意点
樹液に弱い毒性がある。










