米国アリゾナ・ニューメキシコ・テキサス西部からメキシコ北部のチワワ・コアウィラ州にかけて、Madrean sky island の標高 1,200〜2,500m に自生する中型ロゼット種。淡灰青〜銀緑色の幅広短葉と、葉先・葉縁に並ぶ濃褐色の棘が整った造形を生み、開花までに 20〜40 年を要し開花後に親株が枯死する monocarpic な生活史を持つ。属内でも特に耐寒性が強く、米国西部では −20℃近くまで耐える記録がある。POWO で基本種 Agave parryi Engelm. として扱われる本種は、亜種・変種が複数記載される変異幅の広い種でもある。種小名は 19 世紀米国の植物探検家 Charles Christopher Parry への献名。
育て方
置き場所・日当たり

米国南西部〜メキシコ北部の高地で強い日射と乾いた風を受けて育つため、強光と通気を強く好む。生育期は屋外で終日直射日光に当てるとロゼットが締まり、葉色の銀青みも乗りやすい。日本の真夏の高湿度+熱帯夜は本来の自生環境より過酷なため、明るい風通しのよい棚上に置き、軽い遮光 20% 程度で過剰な葉焼けを避けるとよい。耐寒性は高く関東以南では露地越冬も可能とされるが、長雨の冬は雨を避けた軒下や明るい室内が安全。
水やり
生育期は用土が完全に乾いてからたっぷり与え、その後しっかり乾かす。長雨・通気不良の過湿で芯腐れが起きやすい。冬は断水気味、月 1〜2 回程度に絞る。
用土
水はけ最優先の無機質中心。赤玉土小粒:軽石:鹿沼土小粒 = 4:3:3 が基本。腰高の鉢で乾湿のメリハリを付け、芯に水が溜まりにくい構造にすると芯腐れのリスクを抑えやすい。
肥料・活力剤
生育期に緩効性化成肥料を少量、月 1 回程度の薄い液肥(規定の半量程度)で十分。多肥は葉が間延びし葉色も鈍る。締まったロゼットを保つには控えめが基本。
温度・冬越し
生育適温 18〜32℃、耐寒性は属内でも強い部類で −10℃前後まで耐える。日本国内の関東以南なら軒下越冬も視野に入るが、長雨と低温が重なる条件は避け、断水気味に管理する。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000 など)と活力剤(メネデール等)を規定希釈率で混ぜた液に半日浸ける。浮いた種は鮮度切れの可能性が高い。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
平たい中型種子を覆土なし、または見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は 1cm 以上空け、密集を避けて並べる。
光・温度
明るい日陰で 25〜30℃を安定維持する。発芽日数は 7〜21 日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種なら発芽はおおむね安定する。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら腰水の水位を段階的に下げていく。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月 1〜2 回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策。与えすぎると徒長につながる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を継続。明るい日陰で管理。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を段階的に下げ、受け皿給水へ。
初回植え替え(1〜2年目)
根が鉢底まで回ってきたら適期。
よくある失敗
芯腐れ
- 原因: 長雨・通気不良・水が芯に溜まる
- 予防: 雨ざらしを避け、上から水をかけずに鉢縁から与える
葉焼け
- 原因: 急に直射日光へ移したことによる組織壊死
- 予防: 1〜2 週間かけて段階的に光量を上げて慣らす
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐにLEDの距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
注意点
葉先の棘が鋭く硬い。

