メキシコ高原中央部の石灰岩台地に自生する、棘を持たない星形のサボテン。和名「鸞鳳玉(らんぽうぎょく)」で古くから親しまれ、Lemaire による1839年の記載以来、日本でも最古参のサボテンの一つとして栽培される。基本は5稜の星形断面で、3稜・4稜・6稜のバリエーションも知られる。表皮を覆う白い綿毛状の小斑が散在する姿は、種小名 myriostigma(「多くの斑点」の意)の通り。栽培は強健で発芽もしやすく、サボテン実生の入門種としても長い歴史を持つ。CITES 附属書 II(属全種)、IUCN は Least Concern。
育て方
置き場所・日当たり

チワワ砂漠の石灰岩台地、標高 800〜1,500m の岩礫地で強い日射を浴びて育つため、終日よく日の当たる場所を好む。生育期は屋外の直射日光下で締まった星形の稜を保ち、白い斑点も美しく出る。日本の真夏は遮光20〜30%程度で軽く葉焼け(表皮焼け)を防ぐ程度に留め、徒長を避ける。鉢は棚上に置いて風通しを確保し、サーキュレーターも有効。冬の休眠期は雨を避けて5℃以上を保てる明るい室内窓辺へ取り込み、断水気味に管理する。
水やり
生育期は用土が完全に乾いてからたっぷり、その後しっかり乾かすメリハリで管理する。長雨の過湿に弱い。休眠期は断水気味、月1〜2回霧吹き程度に。
用土
水はけ最優先、石灰岩生のため弱アルカリ寄りを好む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 を基本に、苦土石灰を少量混ぜると相性が良い。腰高鉢で乾湿のメリハリを付ける。
肥料・活力剤
生育期に緩効性化成肥料を少量、月1回程度の液肥(規定の倍以上に薄める)で十分。与えすぎは徒長と稜の間延びを招き、星形のシルエットも崩れる。控えめに締めて作る。
温度・冬越し
生育適温20〜32℃。35℃を超えると CAM 効率が落ちるため、通気と軽い遮光で支える。冬は雨を避けた明るい室内窓辺で乾燥越冬、最低5℃が目安。湿土+低温が最大の事故要因。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。サボテン種子は保管で鮮度差が出るため、入手後はなるべく早く播種するのが安心。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
中粒程度の種子なので覆土なし、または種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は1cm以上空け、重ならないよう並べる。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を安定維持する。発芽日数は7〜21日。鮮度の良い種であれば発芽は易の部類で、揃って芽吹きやすい。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の2〜3週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉(小さな星形が見え始めた頃)から薄めた液肥を月1〜2回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策となる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を保ち、明るい日陰で管理。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を下げ底面給水へ移行。
初回植え替え(1〜2年目)
無機質中心の用土へ植え替え。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
徒長・稜の間延び
- 原因: 光量不足、肥料過多
- 予防: 発芽後すぐにLEDの距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
表皮の日焼け
- 原因: 急な強光、真夏の無遮光
- 予防: 環境変化は段階的に。盛夏は20〜30%の遮光を入れる
注意点
棘はないが鉢縁との擦れに弱い。
