ソマリア北部・カル・マドウ山地のタビア渓谷(Tabia Gorge、エリガボ北方)の限られた区域だけに自生する希少なドルステニア。1973 年に植物探検家 John J. Lavranos が発見し、長らく未記載だったが 2008 年に T.A.McCoy と M.Massara によって彼への献名として正式記載された。多肉質で蝋質の細い茎が叢生して小さな「林」を作り、頂部にちぢれた葉のロゼットを着ける独特のフォルムが魅力。属内で唯一の雌雄異株種であるため種子を採るには雄株と雌株の両方が必要で、結果として流通量がきわめて少ないコレクター向けの一種。
育て方
置き場所・日当たり
自生地は石灰岩の断崖の苔むした割れ目という半日陰寄りの環境で、強い直射には適応していない。生育期は屋外なら遮光 30〜50% の柔らかい光、室内なら明るい窓辺や LED で十分。日本の真夏に無遮光で当てると葉が焼けてフリル状の葉縁が縮れたまま茶変するので注意。原産地は標高 100〜1750m と幅があるが、年間を通じて霧と湿気を含んだ安定した気候で、極端な乾燥や強光は逆にストレスになる。秋に気温が下がってきたら早めに室内へ取り込む。
水やり
生育期は鉢内が乾いたらたっぷり、ただし完全に乾かしすぎない。乾湿のメリハリより安定供給を優先する。冬は控えめにし、月 1〜2 回晴れた午前中に軽く与えて根を傷めない。
用土
水はけと保湿のバランスを取り、無機質ベースに軽く保水材を混ぜる。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 を基本に、苔むす岩肌の出身を意識して深鉢で根域を確保する。
肥料・活力剤
成長が遅いので肥料は控えめでよい。生育期に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性化成肥料を植え替え時にひとつまみ。濃く与えても太らず、徒長や根傷みを招くだけ。
温度・冬越し
生育適温 22〜32℃、最低 10℃。ソマリア出身で寒さには明確に弱く、10℃を切ると茎が傷み始める。冬は明るい室内で 12〜15℃以上をキープすると安全。乾かしすぎても痩せるので軽く湿り気を残す。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。種子は鮮度が命で、雌雄異株のため流通量が少なく、古い種は発芽率が大きく落ちる。
用土
実生用は細粒・無菌寄り。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1。立ち枯れ予防に電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
種子は小粒で、覆土なしか種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土。種子間隔は 1cm 以上空けて密集を避ける。
光・温度
明るい日陰または LED 環境で 25〜30℃を維持。発芽日数は 10〜30 日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種なら発芽はおおむね安定する。温度が低いと急に落ちる。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理。本種は乾燥に弱いので、最初の 1〜2ヶ月はしっかり腰水を維持し、本葉展開後に段階的に水位を下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に規定の倍以上に薄めた液肥を月 1〜2 回。成長が遅いので濃く与えず気長に。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、半日陰で管理。
腰水卒業
2〜3ヶ月かけてゆっくり。
初回植え替え
1〜2 年目、根が回ってから。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿+通気不足、雑菌
- 予防: 用土を事前殺菌し、腰水の水換えをこまめに行う
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: LED 距離を近づけるか屋外の明るい日陰へ。ただし強光は禁物
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 入手後すぐ播く、加温マットで 25〜30℃維持
注意点
樹液に弱い毒性がある。

