チリ北部のアタカマ砂漠、世界でも有数の極乾燥地帯に生きる難関サボテン。和名「黒王丸(くろおうまる)」の名が示すとおり、深い青灰色から白灰色の蝋質表皮と漆黒の太い刺が際立つ孤高の姿を持つ。camanchaca(カマンチャカ)と呼ばれる沿岸霧を水源として、直射が届かない岩壁の傾斜面に根を下ろす。単体または群生し、実生から群落のサイズに育つまでに数十年を要する超長命種だ。POWO の学名は Copiapoa cinerea (Phil.) Britton & Rose(1922)、基礎名は Echinocactus cinereus Phil.(1860)。IUCN は Vulnerable、CITES 附属書 II 掲載。亜種として subsp. albispina・subsp. haseltoniana が知られる。
育て方
置き場所・日当たり

自生地の沿岸部は霧が多く、日本の猛暑・多湿とは全く異なる冷涼な気候だ。生育期は屋外の明るい半日陰〜午前中だけ直射が当たる場所が合う。真夏は30〜40%の遮光と棚上通風が安全で、サーキュレーターで熱気を散らすと根腐れリスクが下がる。高温多湿が続く梅雨〜盛夏は特に注意が必要で、水を控え乾燥気味に保つことが腐敗予防のカギとなる。冬の休眠期は5℃以上を保てる明るい室内窓辺へ取り込み、断水気味に越冬させる。
水やり
生育期は用土が完全に乾いてからたっぷり、その後しっかり乾かすメリハリ。梅雨〜真夏は給水頻度を落とし、乾燥気味に管理する。休眠期は月1〜2回の霧吹き程度に留める。
用土
水はけ最優先。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4を基本に、無機質中心で組む。深鉢で主根を伸ばし、用土の蒸発速度を上げると夏の蒸れを防ぎやすい。
肥料・活力剤
施肥は控えめに。規定の2倍以上に薄めた液肥を生育期に月1回程度。緩効性化成肥料は植え替え時にひとつまみ。肥料過多は徒長と根腐れを招く。
温度・冬越し
生育適温15〜28℃。カマンチャカの霧が育む冷涼な自生地環境ゆえ、日本の高温多湿の夏には慎重な管理が求められる。最低5℃が目安。冬は乾かして越冬。湿土+低温は致命的。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
腰水には殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜて用いる。種子は入手後なるべく早く播種するのが安心。
用土
細粒・無菌寄りを用意。赤玉土細粒:バーミキュライト:軽石細粒 = 2:1:1。事前に電子レンジか熱湯で殺菌しておく。
播種方法
覆土なしか、ごく薄い覆土に留める。種子間隔は1 cm以上空け、密集を避ける。透明蓋やラップで湿度を保つ。
光・温度
明るい日陰で22〜28℃を安定維持する。発芽は7〜21日程度。発芽のしやすさは「やや難」の部類で、鮮度と温度管理が結果を大きく左右する。
水やり
鉢底から1〜2 cmの腰水管理。最初の1〜2ヶ月は乾かさず、発芽が揃ったら徐々に水位を下げ、過湿による腐敗を避ける。
肥料
発芽直後は不要。本葉相当の二次刺座が見え始めてから規定の倍以上に薄めた液肥を月1回、ごく控えめに。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、強光は避ける。
腰水卒業
2〜3ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
2〜3年目、根が回ってから。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、通気不足、用土の雑菌
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレーターで通気確保
徒長・稜の間延び
- 原因: 光量不足、水分・肥料過多
- 予防: 明るい半日陰で管理、梅雨〜夏は給水を控えて乾燥気味に保つ
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 新鮮な種を選ぶ、加温マットで22〜28℃を維持
表皮の日焼け
- 原因: 急な強光への移行、夏の直射と高温の重なり
- 予防: 30〜40%遮光を入れ、環境変化は段階的に
成長停滞・腐り
- 原因: 高温多湿期の過湿、梅雨〜盛夏の水やりすぎ
- 予防: 夏は給水頻度を大幅に落とし、棚上通風を確保する
注意点
触れると蝋質の青みが剥がれ、元には戻らない。
