メキシコ・北部オアハカ州、テワカン=クイカトラン渓谷の石灰岩崖に自生するアガベ属の中型種。1982年に Howard Scott Gentry が Agaves of Continental North America で記載した。青白くチョーキーな葉色と、大きく不規則な葉縁の鋸歯、長い頂刺がフォルムの核。実生(みしょう)は発芽が早く、塊根植物に比べて育成のテンポが掴みやすい入門種でもある。市場で「白鯨」「厳竜」「FO-076」などの選抜系が高値で取引されるが、それらの形質は栄養繁殖で維持されたものだ。なお FO-076 系統は 2019 年に Agave oteroi として別種記載されており、本ページは Gentry 原記載の狭義 A. titanota を扱う。
育て方
置き場所・日当たり

石灰岩の岩肌で強烈な直射を浴びて育つため、生育期は屋外で終日日光に当てたい。光量が足りないと葉が長く垂れ、せっかくの鋸歯と頂刺が間延びする。日本の真夏は遮光20〜30%で葉焼けと熱だまりを和らげ、鉢を地面に直置きせず棚上で風を通す。サーキュレーターも有効で、CAM 植物として夜間の通気が代謝に効く。冬は氷点下と冷たい雨を避け、5℃以上を保てる明るい窓辺へ取り込んで断水気味に管理する。葉色が締まり鋸歯が立つのは強光下で育てた株。
水やり
生育期は用土が完全に乾いてからたっぷり、その後しっかり乾かすメリハリを徹底する。長雨と鉢内停滞が最大の事故要因。休眠期は断水〜月1回ごく軽く与える程度に絞る。
用土
水はけ最優先、無機質中心で組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。石灰岩生のため軽石や日向土を多めにしても問題ない。腰高鉢で乾湿のメリハリを付ける。
肥料・活力剤
生育期に緩効性化成肥料を少量、月1回程度の薄い液肥で十分。多肥は葉間が伸びて鋸歯のキレが鈍る。植え替え時にマグァンプK等を少量混ぜる程度が扱いやすい。
温度・冬越し
生育適温20〜33℃、最低5℃が目安。乾いていれば0℃近くまで耐えるとの報告もあるが、湿土+低温の組み合わせには弱い。冬は雨と霜を避けた明るい室内窓辺で断水気味に越冬させる。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を希釈液に半日浸ける。水に浮いた種は鮮度切れの可能性が高い。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
覆土なしか、種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。アガベの種子は平たく重なりやすいため、ピンセットで1cm以上空けて並べる。
光・温度
明るい日陰で22〜28℃を安定維持する。発芽日数は5〜14日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種であれば発芽しやすい部類。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の2〜3週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月1〜2回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策となる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を続け明るい日陰で湿度を保つ。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を下げ、底面給水へ切り替える。
初回植え替え(1〜2年目)
根が回ったら無機質用土へ移す。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐにLEDの距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
親株と同じ姿にならない
- 原因: 白鯨・厳竜・FO-076 等は栄養繁殖で形質を維持してきた選抜株
- 予防: 原種実生は個体差を前提に。特定形質を求めるなら子株を入手する
注意点
葉先の頂刺は鋭く、目や手の怪我に注意。

