南アフリカ・カルー高原の石英・砂礫地に自生するメセンで、和名は「帝玉(ていぎょく)」。直径 4〜8 cm のほぼ球形をした 2 枚の多肉葉は灰緑〜灰青色で、石の上に置いた玉のように地表に鎮座する。秋に開く鮮橙赤色のデイジー状の大輪花は、コンパクトな株のサイズに不釣り合いなほど迫力があり、属内随一の花を誇る。Lithops より一回り大きく株の存在感が際立つことと、実生で比較的よく発芽することから、メセン(女仙)の入門種として長く親しまれてきた。命名は Schwantes(1928年)で、POWO では独立種として維持される。CITES 対象外、IUCN は Least Concern。
育て方
置き場所・日当たり
カルー高原の強い日射と乾燥した空気の下で育つため、強光を好む。生育期の春と秋は屋外の直射日光下に置くと葉が締まって発色が良くなる。日本の真夏(7〜8 月)は高温多湿で半休眠に入るため、雨を避けた明るい日陰か遮光 30〜40% の棚に移し、通気を確保する。冬は霜を避けた明るい室内窓辺で 3℃以上を保ち、乾燥気味に管理する。
水やり
春秋の生育期は用土が完全に乾いてから数日後にたっぷり与える。夏は株の状態を見ながら月 1〜2 回程度に絞り、冬はほぼ断水気味に管理する。過湿は根腐れと葉の裂けの最大要因となる。
用土
水はけ最優先の無機質中心で組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。石英礫地由来のため粗めの砂や桐生砂を混ぜてもよい。腰高鉢で乾湿のメリハリを付ける。
肥料・活力剤
生育期に緩効性化成肥料を少量、月 1 回程度の液肥(規定の倍以上に薄める)で十分。肥料過多は株の間延びと腐敗リスクを高める。
温度・冬越し
生育適温 15〜28℃の春秋型。盛夏と真冬の両方で休眠し、温和な春と秋に旺盛に動く。最低 3℃を保てる明るい窓辺で乾燥越冬。湿土+低温の組み合わせが主な事故要因となる。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール 1000 など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。水に浮いた種は鮮度低下が進んだものが多い。保管状態によって鮮度差が出るため、入手後はなるべく早く播種するのが安心。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
覆土なしか、種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は 5mm 以上空け、ピンセットで重ならないよう並べる。
光・温度
明るい日陰で 18〜25℃を安定維持する。発芽日数は 7〜21 日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種であれば発芽しやすい部類。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月 1〜2 回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策となる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を保ち、明るい日陰で管理。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を下げ底面給水へ移行。
初回植え替え(1〜2年目)
無機質中心の用土へ植え替え。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
夏の腐れ
- 原因: 高温期の過湿、水はけ不良
- 予防: 夏は水やりを大幅に絞り、雨ざらしを避けて通気を確保
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
注意点
脱皮期の古葉は乾いても、自然に萎れるまで手で外さない。
