南アフリカ西ケープ州のモッセルベイ〜ジョージにかけての丘陵に分布する小型の軟葉系ハオルチア。隣種の寿(H. retusa)が自生するリバースデール周辺から約60km東に位置し、分布域が隣接する。最大の特徴は三角形の葉の上面に密生する突起(パピラ)で、滑らかな窓をもつ一般的な軟葉系ハオルチアと違い、表面全体が真珠を敷き詰めたように粒立つ。変種 var. crystallina ではこの質感がさらに際立つ。ロゼット径は4〜6cmと控えめで、葉色は暗緑〜赤紫色に変化する。夏の高温期(30℃超)は半休眠に入る春秋型。IUCN では Vulnerable(危急種)に分類される。
育て方
置き場所・日当たり

自生地は石英礫を含むクレイ質の丘陵で、低木や石の陰に半ば埋もれて育つ。軟葉系ハオルチアの典型で、直射日光よりも柔らかく散乱した光を好む。強光下ではパピラ突起が詰まった葉の上面が焼けるだけでなく、軟らかい葉組織そのものへのダメージが蓄積しやすい。生育期の春と秋は屋外の明るい日陰、または遮光50〜60%の棚で管理すると葉の質感が保たれる。真夏は30℃を超えると成長が止まって半休眠状態になるため、風通しの良い涼しい日陰に移す。冬は5℃以上を保てる明るい室内窓辺で管理し、通年でサーキュレータによる通気を確保する。
水やり
生育期の春と秋は用土が乾いたらたっぷり与える。夏の半休眠期は月1〜2回控えめに、冬は土が乾いて数日置く程度に絞り、低温期や高温期の過湿を避ける。
用土
水はけ最優先で、軟葉系向けにやや細粒の配合が向く。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石小粒 = 4:3:3を基本に、表土に化粧砂利を薄く敷くと表面の過湿を防ぎやすい。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1〜2回与える程度で十分。施肥過多は葉が間延びして突起の質感が失われ、引き締まったロゼット形が崩れる。控えめな施肥で固く作る方が本種らしい姿に仕上がる。
温度・冬越し
生育適温15〜25℃。30℃を超えると成長が止まり半休眠に入るため、真夏は涼しい環境を優先する。冬は5℃以上を維持できれば葉を保つ。湿土と低温の組み合わせが最大の事故要因で、低温期は乾かし気味で越冬させる。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
種子は微粒で乾きやすく、播種直前まで密封保管する。殺菌剤(ベンレート・ダコニール等)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に半日程度浸け、表面の雑菌を抑えてから播く。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
覆土はせず、種子を用土表面にそのまま置いて並べる。種子間隔は5mm以上空け、重ならないよう配置すると初期の蒸れと立ち枯れを抑えられる。
光・温度
明るい日陰で22〜28℃を維持する。発芽日数は7〜21日で鮮度依存が大きく、加温マットで温度を下から支えると発芽が揃いやすい。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の1ヶ月は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月1〜2回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策となる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を継続し、明るい日陰で湿度を保つ。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を段階的に下げて底面給水へ切り替え。
初回植え替え(1〜2年目)
根が鉢底まで回ったら通常用土へ。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
葉焼け・窓の濁り
- 原因: 強光直射、急な環境変化
- 予防: 遮光50〜60%の棚へ移し、移動は段階的に1週間かけて慣らす
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
夏の蒸れによる根腐れ
- 原因: 高温期の過湿、通気不足
- 予防: 真夏は涼しい日陰で水を絞り、サーキュレータで通気を確保する
注意点
属レベルで毒性の報告はない。

