マダガスカル南西部・イサロ地方の岩場に自生する、パキポディウム属屈指の人気を誇る塊根植物。ふっくらと丸く膨らんだ塊根、銀色を帯びた細長い葉、黄色い花を咲かせる姿は「コーデックスといえばグラキリス」と称される象徴的なフォルムで、実生・現地球を問わず多くのコレクターに愛される。強健で実生も成功しやすく、塊根植物入門の定番でありながら、追い込むほど奥が深い長く付き合える種。POWO 等の最新分類では accepted name は Pachypodium rosulatum subsp. gracilius とされ、本サイトもこの表記を採用する。園芸流通界では「グラキリス」「Pachypodium gracilius」が広く定着している。
育て方
置き場所・日当たり

マダガスカル南西部・イサロ地方の岩盤の隙間で強烈な日射を浴びて育つため、強光を好む。生育期は屋外で終日直射日光に当てると、塊根が丸く締まり葉も短く銀色を帯びる。日本の真夏は遮光20〜30%程度で軽く葉焼けを防ぎつつ、徒長を避ける。鉢を地面に直置きせず棚上で風通しを確保することが重要で、サーキュレーターも有効。冬の休眠期は雨を避けて5℃以上を保てる明るい室内窓辺へ取り込み、断水気味に管理する。
水やり
生育期は用土が完全に乾いてからたっぷり、その後しっかり乾かすメリハリで丸い塊根を作る。長雨の過湿に弱い。休眠期は断水気味、月1〜2回霧吹き程度に。
用土
水はけ最優先、無機質中心で組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3が基本。マグァンプK等を少量混ぜると初期成長が安定。腰高鉢で乾湿のメリハリを付ける。
肥料・活力剤
生育期に緩効性化成肥料を少量、月1回程度の液肥(規定の倍に薄める)で十分。与えすぎは徒長と根腐れに直結し丸い塊根が間延びする。控えめに太らせる。
温度・冬越し
生育適温20〜32℃、属内では暑さに強い部類で最低5℃が目安。盛夏の熱帯夜は軽い遮光と通気で支える。落葉後は雨を避けた明るい室内窓辺で乾燥越冬。湿土+低温が最大の事故要因。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
は直接商品ページ、他は学名検索リンク。在庫は流動的なので、検索リンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。水に浮いた種は鮮度低下が進んだものが多い。保管状態によって鮮度差が出るため、入手後はなるべく早く播種するのが安心。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
覆土なしか、種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は1cm以上空け、密集を避けて重ならないよう並べる。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を安定維持する。発芽日数は3〜14日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種であれば発芽しやすい部類。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の2〜3週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月1〜2回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策となる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を継続し、湿度を保つ。強光は避け、引き続き明るい日陰で管理。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
徐々に腰水の水位を下げ、最終的に底面給水(受け皿に水をやる)へ切り替える。急に乾燥させると枯れる。
初回植え替え(1〜2年目)
根が鉢底まで回ってきたら適期。塊根が見え始める頃に、無機質中心の通常用土へ植え替える。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐにLEDの距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
発芽後すぐ枯れる
- 原因: 急な強光、急な乾燥
- 予防: 環境変化は段階的に。1週間かけて少しずつ慣らす
注意点
樹液に弱い毒性がある。










