マダガスカル固有のワサビノキ科 Moringaceae の塊根性樹木。灰白色のぼってりした瓶型 caudex の頂部に、二回羽状複葉の葉が傘状の樹冠を広げる。Olson & Razafimandimbison (2000) のフィールド調査により、野生集団はすでに失われ、現存個体はすべてマダガスカル西部〜南西部の集落で植栽として守られているものと結論された。IUCN は近絶滅(Critically Endangered)。1880 年代以降の標本もすべて村落の栽培個体に由来し、人の手と文化によって命脈を保つ稀有な保全事例として、実生家にも重視されている。
育て方
置き場所・日当たり

マダガスカル西部の乾燥落葉樹林帯と村落周辺で強い日射を受けて育つため、終日明るい環境を好む。生育期は屋外で直射に当てると caudex が締まり、間延びせずどっしりとした樹形に仕上がる。日本の真夏は強光と高温で葉焼けや葉軸の赤化退色が起きるので、遮光30%程度を目安に、鉢を地面直置きせず棚上に上げて風通しを確保する。冬は落葉して休眠するので、最低8℃以上を保てる明るい室内窓辺へ早めに取り込む。寒さと湿土の組み合わせに弱く、戸外放置は厳禁となる。
水やり
生育期は表土が乾いてからたっぷり与え、メリハリで caudex を膨らませる。受け皿に水を残さない。落葉後は完全断水〜月1回の霧吹きで乾燥越冬させる。
用土
水はけ最優先で無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3が基本。深鉢で乾湿のメリハリを付けると、太った caudex も腐らせず維持できる。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1〜2回、または緩効性化成肥料を植え替え時にひとつまみ。成長は早く、適量で太りと葉数が一気に伸びる。
温度・冬越し
生育適温22〜35℃、最低8℃が目安。落葉後は雨を避け、明るい室内窓辺で乾燥越冬。湿土+10℃以下は致命傷で、寒気が入る前に取り込む。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
は直接商品ページ、他は学名検索リンク。在庫は流動的なので、検索リンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。浮いてくる種は鮮度落ちが進んでいる可能性が高い。種子は大粒で扱いやすく、外皮が硬めなので軽くペーパー研磨すると発芽が安定する。
用土
実生用は細粒・無菌寄り。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1。電子レンジか熱湯で事前殺菌しておくと安心。
播種方法
種子は1cm前後の大粒なので、軽く押し込んで5mm程度の覆土に留める。種子間隔は2cm以上空け、密集を避ける。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を安定維持。発芽日数は7〜21日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種であれば発芽しやすい部類。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の2〜3週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に規定の倍以上に薄めた液肥を月1〜2回。成長が早いので濃く与えなくてもよく伸びる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、強光は避ける。
腰水卒業
1〜2ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
1年目、根が回ってから。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換えをこまめに
徒長
- 原因: 光量不足、高温過湿
- 予防: 発芽後すぐLED距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 新鮮な種、加温マットで25〜30℃維持
注意点
野生絶滅相当(IUCN は近絶滅と評価)で、村落栽培個体に依存する希少種。出所の確かな種子・株を選び、栽培で命脈をつなぐ意識を持ちたい。
