南アフリカ西ケープ州ボッケフェルト崖からギフベルク、北ケープ南部、ナミビア南部にかけての冬雨地帯に分布する矮性キク科多肉。L.f.(小リンネ)が 1782 年に Supplementum Plantarum で記載した最古の Othonna 種の一つで、近年は Nordenstam(2012)により新属 Crassothonna への移行が提唱されている。テーブルマウンテン砂岩の岩盤に薄く溜まった砂礫に塊根を半地中に沈め、秋〜春に小さなヘラ形の多肉葉と黄色い小花を出す 冬型。塊根径は 7〜8cm 止まり、成長点が分かれるまで十数年単位を要し、属内でも最も気難しい種の一つに数えられる、コレクター向けの実生(みしょう)対象種。
育て方
置き場所・日当たり

自生地のボッケフェルト崖は標高 800〜1,400m、年降水量 350mm 程度のうち大半が冬季に降る冬雨地帯で、岩盤の風通しのよい棚状地に張り付くように生える。生育期の秋〜春は屋外でしっかり日に当てると葉が締まり徒長しにくいが、属内では葉が柔らかく、真冬の冷たい強風や急な強光は避けて窓辺〜半日陰寄りに。夏の休眠期は遮光と通風が最優先。直射を外した明るい日陰(北側軒下や寒冷紗 50〜70%)に移し、サーキュレーターで常に空気を動かす。蒸れと地温上昇が最大の死因。
水やり
秋に気温が下がり葉が動き始めたら少量から再開し、本葉が展開したら表土が乾いてから与える。春の終わりに葉が黄変したら断水、夏は完全に乾かして越夏。
用土
水はけ最優先で無機質中心に。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4。塊根は浅く広く張るため、深鉢より浅めの平鉢が向く。
肥料・活力剤
生育期の秋〜春に倍以上に薄めた液肥を月 1 回程度、ごく控えめに。本来極めてゆっくり太る種で、施肥は徒長と腐敗を招きやすい。
温度・冬越し
生育適温 15〜25℃、最低 5℃ が目安。25℃ を超えると休眠に入る。湿土+低温は致命傷で、冬は明るい窓辺で乾かし気味に。夏越しが冬越しより難しい。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
は直接商品ページ、他は学名検索リンク。在庫は流動的なので、検索リンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は鮮度切れの傾向が強い。綿毛付きの細かい痩果は保管状態に左右されやすいため、入手後は早めに播きたい。
用土
実生用は細粒・無菌寄りに。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 を熱湯やレンジで殺菌。表面に粗砂を薄く敷いて種子を固定する。
播種方法
覆土はごく薄く、種子が見え隠れする程度に。綿毛が空気を含み浮きやすいので、湿らせた表土に押し付けるように置く。
光・温度
明るい日陰で 15〜22℃ を保つ。冬型なので 25℃ を超える加温はかえって発芽を抑える。日本では 9〜11 月の秋播きが基本。発芽は 10〜30 日。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水で表面を乾かさない。極小種子なので必ず腰水か霧吹きで、最初の数週間は乾燥を避ける。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に規定の倍以上に薄めた液肥を月 1〜2 回。直径 2cm の塊根に育つまで 3〜4 年かかる種なので焦らない。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、明るい日陰で。
腰水卒業
1〜2 ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
2 年目以降、根が回ってから秋に。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換え、サーキュレーターで常時通気
徒長
- 原因: 光量不足。冬型は秋〜春の太陽が低く光を稼ぎにくい
- 予防: 室内なら LED を近距離、晴天時は屋外の明るい日陰へ
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度が高すぎる
- 予防: 新鮮な種を 15〜22℃ で播く。加温マットでの 25℃ 超は逆効果
夏の高温で停止・腐敗
- 原因: 休眠期の夏に水を与える、風通しの悪い高温多湿に置く
- 予防: 春の終わりに葉が黄変したら断水、夏は遮光・通風・乾燥を徹底。エアコン室内退避も有効
注意点
CITES 附属書 III(南アフリカ提案)掲載種、入手は正規ルートから。



