九州南部から南西諸島、中国福建・台湾東部に自生する、日本唯一のソテツ目自生種。命名権威は Thunb.(Carl Peter Thunberg, 1782)で、和名「蘇鉄(ソテツ)」は古来から知られる。樹高は1〜7m、灰色の太い caudex に長さ50〜150cmの羽状複葉がロゼット状に展開し、沖縄の斎場御嶽や本土の神社・寺院にも植えられてきた象徴的樹木。ソテツ目の中で最も耐寒性が高く、関東以南なら屋外越冬も可能。CITES 附属書 II、IUCN は Least Concern。全草に強毒のサイカシン(cycasin)を含み、誤食は重篤な肝障害を招く。
育て方
置き場所・日当たり
亜熱帯沿岸の岩場で終日強光を浴びて育つ陽性植物。生育期は屋外の直射に当てるほど葉軸が短く硬く仕上がり、葉色も濃い緑に締まる。日陰では葉が間延びし黄ばみやすい。日本の真夏でも遮光は20〜30%以下に抑え、地面直置きを避け棚で通風を確保する。庭植えなら南向きで水はけのよい場所が最適で、関東以南なら問題なく屋外越冬できる。鉢栽培の冬は雨を避けた明るい軒下や室内窓辺に取り込むと安心。
水やり
生育期は表土が乾いてからたっぷり、受け皿に水を残さない。冬は乾燥気味に月1〜2回程度。湿土+低温で根が腐りやすい。
用土
水はけ最優先で無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4。深鉢で根を真下へ走らせると安定する。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1回、または緩効性化成肥料を植え替え時に少量。成長は遅いので濃く与えても太らず、葉が間延びするだけ。
温度・冬越し
生育適温22〜32℃、最低-5℃。ソテツ目で最も耐寒性が高く、関東以南なら屋外越冬可能。乾いていれば短時間の-8〜-10℃にも耐える報告がある。湿土+低温は腐敗する。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
赤い肉質の種衣(サルコテスタ)は腐敗の原因になるため、軽く水に浸して柔らかくした後に取り除く。殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は古い在庫の目印。発芽には 25〜32℃ の安定した高温が必要。
用土
無機質単体寄りに組む。軽石細粒主体、または赤玉土細粒:軽石 = 1:2。根が深く伸びるので必ず深鉢を使い、熱湯やレンジで事前殺菌しておく。
播種方法
種子は横向きに寝かせて置くのが鉄則。裂け目を上下にすると発根が乱れる。覆土はごく薄く、種子の上半分が見える程度。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を維持。加温マットで底面温度を安定させる。発芽は1〜3ヶ月と幅広く不揃いで、3ヶ月音沙汰なくても捨てずに気長に待つ。
水やり
鉢底1〜2cmの腰水管理。腐敗リスクが高いので水換えはこまめに。発芽後は水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉(羽状葉)が展開してから規定の倍以上に薄めた液肥を月1回。成長は遅く、濃く与えても加速しない。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
子葉→羽状本葉の順に展開。
腰水卒業
2〜3ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
2〜3年目、深鉢に直根を伸ばす。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: サルコテスタの残留、過湿、雑菌
- 予防: 肉質外皮を完全除去、用土殺菌、腰水の水換えと送風を徹底
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後は屋外の明るい場所や高出力LEDで強光に慣らし、葉軸を短く硬く仕上げる
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度不足、見切りが早い
- 予防: 信頼できる入手先で新鮮種を確保、加温マットで25〜30℃維持、最低3〜6ヶ月は待つ
注意点
CITES 附属書 II 掲載種で、種子・苗・成株とも輸出入には許可証が必要。種子に強い毒性があるため、子供やペットからは遠ざけたい。
