南アフリカ KwaZulu-Natal 北部のソドワナ湾〜コシ湾からモザンビーク南部の沿岸まで、subtropical な海岸林と砂丘林に分布するソテツ。命名権威は G.Bertol., 1851 年で、種小名 ferox(凶暴な)は鋭い棘状の歯を持つ硬い小葉に由来する。被子植物ではなくソテツ目(Cycadales)ザミア科の裸子植物で、樹高は 1〜2m、深く切れ込んだヒイラギ様の濃緑色の葉と、属内でも屈指の鮮赤橙色の毬果(cone)を持つ最も派手な一種。Zulu 名 umthobane / uthobani。CITES 附属書 I、IUCN Near Threatened。subtropical 出身で多湿に強く、属内では栽培容易な部類で実生入門にも向く。
育て方
置き場所・日当たり

KwaZulu-Natal 北部〜モザンビーク南部の沿岸林の縁や砂丘林の半日陰で育つため、終日強光よりも明るい半日陰〜午前直射が向く。生育期は屋外で風通しの良い棚に置き、夏は遮光30〜50%で葉焼けを防ぐ。日陰すぎると葉が間延びし棘の質感が緩むので、明るさは確保したい。属内では水気のある場所を好む反面、鉢内のムレには弱いため地面直置きを避ける。冬は8℃を下回らない明るい室内窓辺へ取り込む。
水やり
生育期は表土が乾いてからたっぷり。属内では水を欲しがる方で、自生地の年降水量1000〜1250mmを反映し乾かしすぎない。冬は月1〜2回程度に絞る。
用土
水はけと保水のバランスを意識して無機質中心に組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。horridus より赤玉比率を高め、適度な保水を確保する。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1回、または緩効性化成肥料を植え替え時に少量。成長は属内では早めだが、与えすぎは葉の質感を緩める。控えめにじっくり育てる。
温度・冬越し
生育適温22〜32℃、最低8℃。subtropical 出身で horridus / lehmannii より明確に寒さに弱く、霜には耐えない。乾燥していれば5℃近くを短時間しのげるが、湿土+10℃以下は致命的。明るい室内窓辺で越冬。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
赤い肉質の種衣(サルコテスタ)は腐敗の原因になるため、軽く水に浸して柔らかくした後に取り除く。殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は鮮度や受粉不良の目安。発芽には 25〜32℃ の安定した高温が必要。
用土
実生用は無機質単体寄り。軽石細粒主体、または赤玉土細粒:軽石 = 1:2。直根が深く伸びるので必ず深鉢を使い、事前に熱湯やレンジで殺菌しておく。
播種方法
種子は横向きに寝かせて置くのが鉄則で、覆土は種子の上半分が見える程度に薄く留める。種子間隔は2〜3cm空けて密集を避ける。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を安定維持。加温マット推奨。発芽は1〜3ヶ月と horridus より早め。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種であれば発芽しやすい部類。
水やり
鉢底1〜2cmの腰水管理。腐敗リスク低減のため水換えはこまめに。発芽が始まったら水位を徐々に下げる。
肥料
発芽直後は不要。羽状本葉が展開してから規定の倍以上に薄めた液肥を月1〜2回。成長が早い分 horridus より反応は良いが濃く与えない。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
子葉から羽状本葉へ順に展開。
腰水卒業
2〜3ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
1〜2年目、深鉢に直根を伸ばす。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: サルコテスタの残留、過湿、通気不足
- 予防: 肉質外皮を完全除去、用土殺菌、腰水の水換え徹底、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 半日陰寄りが好みでも光は十分量必要。屋外の明るい場所か高出力LEDで葉軸を硬く仕上げる
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度不足、サルコテスタ未除去
- 予防: 信頼できる入手先で新鮮種を確保、加温マットで25〜30℃維持、肉質外皮は必ず除去
注意点
CITES 附属書 I・国内では種の保存法の国際希少野生動植物種に指定され、生株の譲渡には登録票必須。ヒイラギ様の鋭い棘状歯で怪我しやすく、扱いには革手袋を使う。種子に強い毒性があるため、子供やペットからは遠ざけたい。

